◆グランド脇道場


先に紅竜が外で二人を待っていた。

「あ、二人とも待っていたよ。そろそろ来るころかなって…」


紅竜は、二人を道場控え室に案内した。
控え室は、普段事務室として使っていた小部屋で、今は物置として使われている。
着替え等は、ロッカー室のほうが大きいからだ。
二人が入った部屋には仁竜が四つんばいになり、天暫が尻にまたがり、
「お楽しみ」をしようとした所だった。
もちろんこの場では「演技」である。

◆道場控え室

や、やあ、お二人さん。待っていたよ。(重い…)
「恋の悩みで困っているんだって?」


天暫が不適にニヤニヤして答えた。

「じ、仁竜先輩…え…?」
雲竜は状況が理解できないでいた。

「へへへ…色々聞いてたぜ。そっちのシャチさんもお前の事が好きだってさ。」

天暫がそう言い放つと、ホエルが赤面した。
別に隠していたわけではないが、ホエルは自分の口で伝えたかった。

「お互いの気持ちは同じなんだから…今ここで本当の事を話したら?」

天暫の下で四つんばいになっていた仁竜が笑顔で答えた。
表情は少し硬く、額には汗がにじみ出ていた。
雲竜の少し緊張が解けた。

「…そ、そうですね…」

雲竜は決心したかのように、深呼吸してホエルの方を向いた。

「じゃあ、俺たちはお邪魔になると思うから、あとは二人だけでゆっくり話してな。」
「大丈夫、この事は誰にも言わねぇよ。それじゃ頑張れよ。」


天暫は、仁竜から離れるとニヤニヤしながら部屋を出た。
仁竜も立ち上がり、後ろを見ながら控え室を出た。
部屋から出た天暫と仁竜。
部屋の外には、紅竜が待っていた。

「急だったけど、上手くいくかな?ごり押しみたいだけど。」
「上手くいくだろうさ。二人して見ちまったんだからな。…さて、仁竜。俺たちもやらないか?

「はぁ…仕方ないね。わかったよ…」

天暫が仁竜の尻をなでると、そのままシャワールームに押し入れた。

お盛んなこと…」

紅竜は、あきれた様子で吐いた。
そして寮に戻った。
「二人」の邪魔はしないようにと。


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